颯斗と飛海

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「遅いけどっ」 駅に向かって歩こうとした俺の背後からは、聞き覚えのある声がした。 「……え?」 声のする方を振り返ると、そこには学園祭以来の天王寺飛海が立っていた。 「紫澤君に、10時にはバイト……上がるって聞いたから待ってたんですけど!」 頬を軽く膨らませて言う飛海に、正直俺は「この人何しに来たのだろう」そう疑問に思ったのであった。 「で、今夜はもう他に行くところは無いんだよね?」 念を押すように俺へと飛海は尋ねる。 自分の家に帰ろうとしていた俺は、有無を言わさない飛海の女王様気質な振る舞いに思わずコクリと頷いてしまう。 「じゃぁ、こっち来て」 そう言うと強引に俺の手首を掴み、いつも翔琉が俺を迎えに来る際に車を停めていた場所まで連れて行かれる。 そこには、ツーシーターの可愛らしいスポーツカータイプの白い外車が停まっていた。 「えっと……これは?」 車の前まで連れて行かれた俺は、その意味が分からず思わず戸惑いを口にする。 「分からないかなぁ!家まで送るってことだよ!足、怪我しているだろ?……その、だから……えっと、本当に悪いことしたと思ってて」 「……え?」 「あれから翔琉さんところに何度も行って、高遠颯斗に謝りたいって申し出たんだけど取り合って貰えるどころか必要最低限以外口を聞いてもらえなくて……」 プイッと横を向きながらも申し訳なさそうな表情を浮かべている飛海を見た俺は、本当は悪いヤツじゃないんだろうなと悟る。ただし究極のツンデレで、他人に理解されにくいタイプの人間なのではないか、そう分析したのであった。
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