隣の君にさようなら

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その次の日も、さらにその次の日も、雪彦は学校から姿を消した翼のことを考えてしまい、彼は学校の授業にも部活の活動にも集中でいなくなっていった。 雪彦は、このまま学校の活動に力が入らない状態ではよろしくないということはわかっていた。だが、それでも脳内は翼のことでいっぱいなのだった。 翼の行方不明事件はテレビのニュースでも取り上げられ、そのニュースの内容によると警察の者たちによる捜査はだいぶ行き詰っているとのことらしい。 そんなある日、雪彦はだれもいなくなった教室で翼の席の机を拭いていた。彼はいつか翼が学校に戻ってくると信じて、彼がいつ帰ってきてもいいように毎日彼の机を綺麗にしているのだ。すると、翼の机の中から一冊のメモ帳(大学ノートをそのまま小さくしたようなもの)が床に落ちた。雪彦は思わずそれに目をやる。そのメモ帳の教師には「ミニ日記」という黒いマジックペンで書かれた白いシールが貼られていた。 「ミニ日記?」 雪彦はメモ帳を拾うと、その表紙を見つめる。 「翼、こんなの書いてたんだ・・・。」 雪彦はそんな独り言を呟いた。その次の瞬間、このミニ日記を目にして、彼は思った。 ”これに、翼の行方不明事件の解決の手がかりになるようなことが書かれているのでは・・・?” そんなことを考え、雪彦はミニ日記の最初のページを開いた。 ”・・・勝手に見てごめんな。” 雪彦は心の底からそう、翼に謝罪した。
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