隣の君にさようなら

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翼のミニ日記は至って普通の内容だった。 主に、学校での出来事について書かれていた。 ”11月1日 今日は文化祭があった。僕は科学部の出し物をしていたからクラスのお手伝いはできなかったけど、部活の仲間たちと準備した文化祭っていい思い出になったな。” ”11月7日 今日は学年集会があった。そろそろ僕たち2年生も受験のことを考えなきゃいけないって先生が話していた。僕たちにもそんな時期が来るとは・・・でも、頑張らなきゃ!” 11月の初め頃の日記まで読んだ雪彦は微笑んだ。 ”文章がかわいいな・・・。” 彼はそう思っていた。 さらにページをめくっていく。 ”11月12日 今日は昼休みに雪彦とお弁当のおかずを交換した。美味しかった。あと、デザートも分けてもらった。やっぱり、親友と過ごす時間は幸せ。” ここまでは普通の日常の出来事を書いた日記だった。だが、この1週間後の日付から内容が不穏になっていった。 ”11月19日 雪彦は僕のことをどう思っているんだろう。最近不安になるんだ。僕から離れていくんじゃないかって。今学期(2学期)から雪彦と隣同士の席になれてすごく嬉しくて、隣にいつもあの子がいるだけで幸せなのに不安なんだ。” 「え・・・。」 11月19日の手紙を読んだ雪彦は、心臓が凍り付くような感覚に襲われた。 さらに日記を読み進めていく。 ”11月24日 雪彦が他の子や先生と話しているのを見ていると胸が痛くなる。僕は1年生の頃から雪彦のことが好きだ。違うクラスだったけど、ひとめぼれしていたんだ。それなのに・・・。” 「翼は・・・俺のことを・・・。」 また独り言を呟けば雪彦はページをめくった。
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