隣の君にさようなら

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"12月1日 雪彦に、僕を離さないでと言いたい。好きだと言いたい。でも、そんなことしたら今の関係が壊れそうでつらいんだ。僕はどうしたらいい?” ”12月2日 このまま雪彦のことを思い続けているのもつらい。でも、告白してもしフラれたら気まずくなる。そんなのどっちもイヤだよ・・・。それに、どうせ雪彦は僕をそういう風に思ってくれるわけがないんだ。だって、だいたい僕たち男同士なんだからドン引きされるに決まってる。それなら・・・。” 日記は12月2日で途切れていた。雪彦と翼がアイスクリーム屋に行ったのが12月3日のことだからこのミニ日記はその前日まで綴っていたことになる。 ミニ日記を全て読んだ雪彦は独り教室の床に崩れ落ちた。 「・・・俺は、あの子の気持ちに気づいてやれなかったのか。」 今にも泣き出しそうな、震える声で雪彦は言った。 ”こんなことになるなら俺から好きだと言えばよかった! どうして言えなかったんだ・・・。” 声にならない思いを心の中で叫べば、彼は誰もいない教室で独り涙した。
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