第一章 今日も俺は手紙を届ける

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「――くそッ」  俺はバイクに跨がりエンジンをふかしながら、独り悪態をつく。  この仕事についてから3ヵ月。その間に300通程の配達を行ってきた。――のだが。  その殆どが、見事に受け取り拒否されてしまうのだ。今の女性の様に。けれどそれでは困る。だからここ最近は、拒否されても無理やり手紙を置いてくるようにしていた。 「――こっちの気も知らないで」  別に俺だって、好きでこんなことしているわけじゃない。こんな仕事、ノルマを達成したらすぐにでも辞めてやる。あと700通、それを配り終えたら……俺は――。  そんなことを考えながら、なんとかその日の配達を終わらせた。  
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