第二章 愛する君にいつの日か

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「――小百合ッ!」  飛び起きたときには、カーテンの向こうは既に朝日で白んでいた。いつの間にか眠ってしまっていたのだろう。俺は夢の中の彼女の姿を思い出し、悲しみを募らせる。頬が、濡れていた。 「――何て言えば良かったんだ」  俺はあの時、君に何と言えば良かった?君は、何を望んでいたんだ……?  俺はソファから立ち上がり、写真の飾られた棚の一番上の引き出しを開ける。そこには、君が居なくなってから書いた、俺から彼女に宛てた手紙が。 「……あと、700通」  ――そしたら、俺は……君に。  俺はいつか来るその日を夢見て――手紙を大切に、大切にしまった。
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