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高校の朝は早い。特に進学校ならなおさらだ。朝自習なんていうものがある。自習という名ではあるが自習ではなく、ただのテストだ。1時間目の授業は8時半くらいからのはずなのにその前にテストがあって採点まであるので富士子は朝6時45分のバスに乗らないと絶対に間に合わなかった。
朝6時45分のバスに乗る為には家を6時30分までに出ないと間に合わない。
( という事は女の子なんだし朝ご飯とかお弁当とかで6時には起きなきゃ、まぁ無理かな。)
やっと準備して家を出ようとしてると来ない方がいいのに寝ぼけた母が、
「 まあみっともない頭。可愛くないんだからせめて髪くらい綺麗にすればいいのに。家の近所の女子高の子達はみんなすごく綺麗にして学校へ行ってるのに。全くみっともなくておかしな子だね不細工で。」
家を出るまでずっと思慮と分別のない言葉を投げかけ続ける。大きな声を張り上げて怒鳴り続ける。とうとうと溢れる意味の無い言葉に脳を奪われる。母親の言葉を頭の中から振り払うには相当な体力と気力を必要とする。どんなに大きなお家でも高いコンクリート塀の上に家があってもご近所はあるというのに。母親は全くお構い無しだ。子供のころからずっとそうだからこれも富士子の日常だ。
学校で一日中頑張って授業を受けてクタクタでお腹ペコペコで家に帰る。授業が終わってから更に部活をする元気なんて富士子には残ってなかった。お小遣いなんてもらった事すら無いから、お金を持ってない。食べ物を買う事は出来ない。フラフラで家に帰り着くのが、やっとだった。
夜は毎日学校の宿題をしないといけない。
( 各教科の先生達は他の教科なんかこの世の中に存在してないと思ってるんじゃないかな。)
というくらいに毎日毎日宿題を沢山だした。
( どの教科から手を付けるかが悩みどころだな。)
英語からやると単語を辞書で調べるだけで軽く1時間くらいは過ぎちゃう。
(単語さえ調べておけば後はどうにか出来るかもしれない。
まだなんにも訳してさえいないのに次は何?数学いっちゃう?)
今日習ったところも復習したいし明日やるところも予習したいところだけども、まずは宿題をこなすしか無い。
数学は大好きだから楽しくて仕方ない。気が付くと1時間なんてあっという間に過ぎててずっとずっと問題を解いていたいのに仕方なく次へ行く。
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