十五夜の日の不思議な出会い

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 この日、僕は手酷い別れを経験した。相手は高校一年の時から付き合っていた可愛い系の女子。よくまあ自分と付き合ってくれたものだと、客観的に見ればそう思うほどの女子。  そんな彼女は今日、虫の居所が悪かったらしい。そして言ったのだ。 「悠君といてもつまらない。もう、終わりにしよう」  そう言って、四年の付き合いにピリオドが打たれてしまったのだ。たぶん、環境の変化が大きな一因だと思う。大学に入ってすれ違いが多く、話題が被らなくなった。それまでは学校の話題で繋がっていた二人は、突如として喋る内容を失ったのだ。そして、あの一言に繋がる。 「はあ」  たぶん、世間ではよくあることなのだと思う。しかし、デートの最中に、何の前触れもなく別れを切り出さなくたって。いや、薄々もう終わりなんだろうと気づいてはいたけど、久々のデート。挽回のチャンスだったはずなのに。 「せっかく、綺麗な満月なんだけどなあ」  今日は十五夜。中秋の名月だ。本当ならばこの先、海辺のベンチに座って二人でロマンチックなひと時を過ごすはずだった。それが、今は一人。とぼとぼと歩くしかない。いや、家に帰れ。  もはや思考がまともではないのだ。それだけ、本気で彼女を愛していた。それなのに、それなのにさあ。 「はあ」  彼女との関係が完全に終わって、まだ二時間ほどしか経っていない。それなのに、溜め息は死ぬほど吐き出した。もう、これ以上吐き出してどうするつもりだ。環境破壊だ。そんなレベルだ。
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