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「香澄~~」
「急すぎるよ」
「どうして教えてくれなかったの~」
休み時間になって、女子たちが井上の周りに集まって騒ぎ出した。
俺は机に突っ伏して寝ているふりをしながら、その声に耳をそばだてる。
「ごめんね、お父さんの仕事の都合で…ほんとに急に決まったんだ。私もびっくりしちゃって」
井上の声が聞こえる。
「かなり遠くに行くことになっちゃって…たぶん、もうしばらく会えないと思う」
「どこ?どこに行くの?」
そうだ、それを聞いてくれ!
「あのね、・・・・なの」
ああ、あの子は行ってしまった。
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