68人が本棚に入れています
本棚に追加
そういう美津子も、不細工の部類ではないという自負はあった。
あくまでも自負だが。ただ、いかんせん華がないのだ。
少し小さめの奥二重の目に、控えめなまつ毛。そして目と同じく小さな鼻。
それだけなら化粧でなんとでもなるのだが、
その鼻の下のやや厚めの唇が問題だった。
美津子は自分の唇が嫌いだ。
他のパーツと比べて主張が強すぎるのだ。
そして、顔に負けじと恋愛遍歴も華やかとは程遠い。
大学3年の時から付き合っていた同じサークルの2つ上の彼氏は
美津子の初めての相手だったが、
それも一年前に別れたきりだ。
大学院に進学した彼は優しく謙虚だった。
しかし大手の会社に内定が決まり、
働き出してからは態度ががらりと変わった。
そして、もっと外の世界を見てみたいと言って美津子に別れを告げたのだ。
先月サークルの後輩から、その彼ももうすぐ結婚しそうだと聞いた。
相手は私の2つ下らしい。
本人から送られてきたというツーショット写真を見せてもらったが、
相手は北川景子に似た目力の強い美人だった。
最初のコメントを投稿しよう!