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いつからか華やかな世界を諦めた美津子は、
その分とばかりに堅実にキャリアを積んできた。
自分がみじめだとは思っていない。
むしろ、ここまでの自分の人生を誇りにさえ思っている。
この先、誠実で優しい相手を見つけて結婚し、
無難に生きていけたらと考えていた。
しかし、いくら自分の現状に満足していようとも、
初対面の人が集まる場で見劣りしていいという話にはならないのだ。
よし、完璧。
自分が最も魅力的に見える左斜め45度で鏡を確認すると、
美津子は会場へと向かった。
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