第二話: これって運命?

1/5
前へ
/178ページ
次へ

第二話: これって運命?

京子主催の異業種交流会は、 会場であるホテルの中ホールが人で溢れかえるほどの かなりの盛況ぶりであった。 200人ほどいたのではないだろうか。 「あんたはいっつも怪しい集まりって言うけどね、 だてに今までセミナーだの交流会だの顔出してないのよ。 今日で分かったでしょ?」 筒状のグラスに入ったモヒートを片手に、 隣に座った中野京子が自慢げに言う。 こちらを見る度に、顔の周りで揺れる黒髪のボブ。 天然の直毛が憎たらしい。 「分かった、ごめんって」 美津子の手元には、 足つきのグラスに注がれたチャイナブルー。 シロップ漬けのサクランボが飾られている。 二人は交流会後、 銀座と有楽町の間のとある雑居ビル内にある小さなバーで 打ち上げをしていた。 主催者でもない美津子まで 打ち上げをするのもおかしな話だが。 「問題は二回目よね。 どれだけの人がまた来ようと思ってくれるか、 あるいは新規の人が来てくれるか。 毎回同じ顔ぶれじゃつまらないしねえ… なにかテーマでも設定してみようかしら。」 「そおねえ、まあ、大丈夫よ、京子なら。」 「なによ、適当なこと言っちゃって。 さっきからあんまり聞いてないでしょ。」
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加