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第二話: これって運命?
京子主催の異業種交流会は、
会場であるホテルの中ホールが人で溢れかえるほどの
かなりの盛況ぶりであった。
200人ほどいたのではないだろうか。
「あんたはいっつも怪しい集まりって言うけどね、
だてに今までセミナーだの交流会だの顔出してないのよ。
今日で分かったでしょ?」
筒状のグラスに入ったモヒートを片手に、
隣に座った中野京子が自慢げに言う。
こちらを見る度に、顔の周りで揺れる黒髪のボブ。
天然の直毛が憎たらしい。
「分かった、ごめんって」
美津子の手元には、
足つきのグラスに注がれたチャイナブルー。
シロップ漬けのサクランボが飾られている。
二人は交流会後、
銀座と有楽町の間のとある雑居ビル内にある小さなバーで
打ち上げをしていた。
主催者でもない美津子まで
打ち上げをするのもおかしな話だが。
「問題は二回目よね。
どれだけの人がまた来ようと思ってくれるか、
あるいは新規の人が来てくれるか。
毎回同じ顔ぶれじゃつまらないしねえ…
なにかテーマでも設定してみようかしら。」
「そおねえ、まあ、大丈夫よ、京子なら。」
「なによ、適当なこと言っちゃって。
さっきからあんまり聞いてないでしょ。」
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