9人が本棚に入れています
本棚に追加
今日も先輩に付き合って、部室でコックリさん……もとい『降霊術』の儀式を行った。
二人っきりで……。
いつも思うのだが、わたし達の所属する「オカルト研究部」略して「オカ部」は、あまりにも部員が少なすぎる。
……ちなみに、オカ部の省略は部長が考えた。
何度か先輩に、新しい部員を確保してほしいと抗議したのだが。
その度に「なかなか条件に合う人が居なくてね」と、言葉を濁されてしまう。
条件に合う人?
一体なんの?
わたしは初めて会ったその日に勧誘され、今に至ると言うのに……。
「やれやれ。今日も収穫はゼロだったね……」
先輩は男の子みたいな口調だが、れっきとした女の子。
見目麗しいとは、先輩のような人の事を言うのだと、わたしは密かに思っている。
艶やかな黒髪から覗く、端正な顔は美しい。一目見れば、同性のわたしですら、目をそらせなくなるほどに……。
妙な言動さえなければ、学校一の美少女として、人気者になっていただろう。もったいない。
「そろそろ帰ろうか、江沢くん」
先輩が、意地の悪い顔で言う。
わたしが男っぽい外見を気にしているのに、わざと『くん付け』で呼ぶのだ。
「江沢ユナ。わたしは女子です。君づけで呼ぶのは、止めてください!」
わたしの膨れっ面を見て、先輩は楽しそうに笑う。
先輩は、ズルい。
悔しいけれど、先輩の笑顔は可愛らしくて。わたしは、何も言い返せなくなる。
最初のコメントを投稿しよう!