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「慧瑠は今、好きな人いるの?」
「好きな人は……、いた」
「え? 過去形なの?」
「ん~~、まあな。諦めざるおえなくなったというか……」
過去に何か悲しい事でもあったのか、慧瑠の語尾が徐々に沈んでゆく。
伏し目がちになった慧瑠の瞳が前髪で隠れる。
だいたい予想はつくけれど、私はあえて訊いてみる事にした。
「好きな男に彼女が出来た?」
「当たり。てか、何で分かったんだよ?」
「えぇーー、諦める理由っていったら、だいたいはそれじゃない? 違う理由の場合もあるかもしれないけど」
私は慧瑠の事を慰めたい気持ちもあって、私の食べかけのハンバーガーを慧瑠に手渡した。
慧瑠は「サンキュ」と言って、何の躊躇いもなくハンバーガーを口から胃袋へと運ぶ。
慧瑠とだったら間接キスも全然気にならない。
男子とこういう事すると周りが色々とうるさかったりするから面倒なんだよね。
変にひやかしてきたり、からかってきたりしてさ。
間接キスなんて女同士でもするじゃん。
ジュースの回し飲みとか、学校の休み時間やお昼を食べる時とかにいっつもしてるじゃん。
私はそっちのほうが意識しちゃって出来ないよ。
♀
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