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「璃海は?」
慧瑠が口に加えていたストローを離して、興味深そうな瞳を私に向ける。
慧瑠は紙パックに入っているジュースをもうほとんど飲み干しちゃったみたい。
私の飲みかけのコーラも慧瑠にあげようかな。
「璃海は今、好きな人いるの?」
「うん。いるよ」
今度は慧瑠がはしゃぎだす。
「えっ!? マジで!? 同じ学校の人?」
「うん。しかも同じクラスなの」
「同じクラスっていうのは嬉しいよな。一緒にいる時間や話す機会も多いしさ」
「嬉しいけど、しょっちゅう彼氏が欲しい! って私に言ってくるんだよ? もぉ~~、落ち込むよ~~……」
私はテーブルの上に突っ伏して、ウジウジといじけだす。
「それはキツイよなあ~~。俺もさ、好きになった男から好きな女の話とかされると、どう接していいのか分かんなくなるんだよ。応援する気なんてさらさらないし。しかも協力してくれなんてお願いされた日には、俺、どうすればいいんだ! チクショーー!」
「うっわぁ~~、それ嫌だ! 絶対に嫌だっ!」
「だろ?」
「もしかして、慧瑠が好きだった人って……」
この先、私に言われる台詞を予想して動揺したのか、
「彼女が出来て、諦めた人って……」
ハンバーガーを掴む慧瑠の指。その指がハンバーガーに食い込み、形が崩れてパンくずがポロポロと落ちた。
「協力してくれって、お願いされた人だったりする?」
私に図星を突かれた慧瑠は残りのハンバーガーをほぼ丸飲みしてから、泣き声まじりに両手で頭を抱え込む。
「あぁーー! そーだよ! もう、思い出させるなよぉ~~……」
「何で協力したの!? 慧瑠のバカーー!! バカだよ! 慧瑠は!」
「協力なんかしてねぇーよ! 俺が協力しなくても、最初から相思相愛だったんだよ! いつの間にかカレカノになってた! しかも顔をデレッデレにして笑いながら、彼女が出来たって、わざわざ俺に報告してきやがった! チクショーー!!」
慧瑠も私との会話に夢中になってきたのか、周りの人達を気にしはじめなくなってきた。
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