璃海 視点 【 2 】

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      生まれて初めて自分の胸の内を声に出した。  しかも慧瑠は私の好きな人が〝女〟だと知っている。  友達が好きな人や彼氏の話を楽しそうにしていても、私はいつも空虚だった。退屈だった。  その場限りの「私も彼氏が欲しいなあぁ~~」とか言って、作り笑いをして、無理矢理、皆の話に合わせとく。  ドン引かれそうで、怖いから。  一人ぼっちになりそうで、不安だから。  本音は頑丈な鎖で雁字搦(がんじがら)めにした心の箱の中に潜ませたまま、男と恋愛したがる夢見る女を演じるの。  この蓋がギュウギュウに硬く閉められた箱の中身が開封されるなんて事は一生ないと思っていたのに……。  私には開ける事が出来なかった、深く沈めた心の箱の鍵。  でも、慧瑠がそんな虚像の塊で作られた箱を強引に叩いて壊して押し入ってきてくれた。 『好きな人』『好きだった人』ばかりに気をとられていたけれど、私は不意に気づく。  慧瑠はよくよく見ると、とてもかっこ良い。  モデル顔負けの端正な顔立ちをしている。  私が言うのもなんだけど、同性愛者なのがもったいないくらい。  え~~っと、ほら、誰だっけ?  私は全然興味ないんだけど、最近、人気急上昇してるテレビでよく見るあのアイドル歌手だか若手俳優だかに慧瑠はどことなく雰囲気が似ているかも。  こんなかっこ良い男を女がほっとくとは思えない。  私がノーマルな女だったら大喜びしているかもしれないな。  そういえば、店内にいる女の人達が慧瑠の事をチラチラと見てる。  そして、私を見ながら何かヒソヒソと言っているような気もする……。  私、慧瑠の彼女だと思われているのかな?  たまたま店内に居合わせた人達なんて、ここから一歩外に出ればもう二度と会う事もない人達ばかり。  そんな不特定多数の人達に慧瑠と私の関係がどう思われようとかまわないけれど、たった一人の大本命にだけは誤解されたくない。  ♀      
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