慧瑠 視点 【 6 】

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     「舘石の知り合い? 友達? それとも恋人? やっぱり舘石は〝そっち系〟だったか」  俺と智景の間に畑野が勝手に割り込んできた。 〝そっち系〟って何だよ!?  いや、俺はそうだけど。当たっているけど。  でも智景はノーマルだ!  てか、初対面の智景に対してその挨拶は失礼だろ! フレンドリーすぎるだろ!  俺は半ば強引に畑野を追い払おうとする。 「畑野、仕事は? 商品補充、在庫確認、レジのお金計算は? 全部畑野の仕事だろ?」 「もう全部終わったよ。客が来たらレジに戻るけど、この人は客じゃなくて〝恋人〟の舘石に用があるみたいだし」  畑野が俺の嫌味にも顔色一つ変えずにケロリと答える。  相変わらず、仕事が早い。  聞くまでもなかったか。  畑野に偉そうに先輩面しても無意味だ。  お世辞ではなく、畑野の仕事ぶりは素晴らしいと思う。  ミスもしない。ミスをしたとしても、ごく稀だ。  人間の中身(性癖など)は別として、畑野のこういうところは素直に信頼している。  俺のしたミスをカバーしてくれた事もあった。  思えば、俺がミスをしでかした時、畑野だけが最後まで手伝ってくれたな。  あれには感謝している。  その後、恩義せがましく「ラーメン奢れ」と言われてラーメンを奢ったけど。  ラーメン好きだし、ラーメン自体そんな高いもんじゃないし、ラーメン上手かったし、損したとは思ってないけどさ。  あのラーメン屋で畑野の馬鹿げた明るさに俺は励まされた。  仕事も出来て、そこそこルックスも良くて、いや、そこそこというより、かなり良いか。  そして常に極上スマイルだ。  何も知らなければ女は近寄ってくるだろうな。  影で毒舌吐きまくりだけど。さすが毒グモだな。  いや、もうこの例え方はやめよう。  畑野には世話になっている部分もあるんだから。  ♂      
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