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「璃海?」
偶然なんて、そうそう起こる訳がない。起こるはずもない。
ファーストフードなんて、ここ以外の場所にも他にも沢山あるのに、どうして今ここに現われるの!?
「うわぁ! まさかこんな所で璃海と会うなんて! 偶然だね!」
いつもみたいに、元気良く「麻菜歌」って言えない。
明るい笑顔で話す気分にはなれない。
顔はひきつり、硬直してしまう。
案の定、麻菜歌は慧瑠に興味を示す。
「璃海! この人、誰!? 璃海の彼氏!?」
男女が二人一緒にいるだけで恋人扱いするのはやめてほしい。
私は、
「彼氏じゃないよ!!」
と、きっぱり、はっきり断固否定する。
キツい言い方をしてしまったと後悔してみても、感情が上手くコントロールできない。
慧瑠、今の私の言い方に驚いた? 驚いたよね?
ゴメンネ、慧瑠。
でもね、慧瑠。
自分勝手かもしれないけど、ワガママかもしれないけど、暗黙に理解して!!
「ねぇ、璃海。紹介して」
嫌だ……。
絶対に紹介なんかしたくない!!
麻菜歌ってば、慧瑠を見る目がキラキラと輝きすぎだよ。
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