慧瑠 視点 【 6 】

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     「オレはここで舘石と一緒にバイトしてるんだけど、〝そっち方面〟のお相手も一緒にさせてもらっていたりもするんだな、これが」  前言撤回!!  やっぱり毒グモだ!!  俺の畑野へと表明した尊敬の糸は一分もしないうちに途切れた。  智景の目の前で畑野がふざけて俺の肩を抱き寄せてくる。  しかも馴れ馴れしく頬擦りまでしてきやがった。  そんな畑野の腕を俺は勢いよく振り払う。  懲りもせずに続ける畑野の冗談に対して、智景の反応はというと……。 「残念ですが、僕は慧瑠の友達止まりです。僕の片想いなんですよ」  心臓がドクンと飛び跳ねた。  脳天に血が溜まり、噴出しそうになる。  身体がどんどん熱くなって、顔に出したらヤバいのに、自分でも赤面していくのが分かる。  全身のあらゆる血管や細胞が暴れ回っているみたいだ。  智景のバカヤロウ。  そんな、あっさり言うなよ。  少しは戸惑って否定しろよ。  もっと迷惑そうな顔しろよ。  穏和で優しい微笑みを浮かべるなよ。  分かっている。  智景は畑野の言った冗談に合わせて冗談で返しただけだ。  俺は智景と『友達止まり』で本当に残念だよ……。  こんなふうに考えてしまうあたり、俺ってば未練タラタラだな……。  ♂      
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