染まる眩む

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染まる眩む

煉瓦の造りに趣感じる棟の一室。 カーテン、ベッド、コールボタンと嫌いな窓に傷の跡。 高い場所から町を眺める。 朝には光が灯りだし、昼には光に慣れてくる。 夕方赤みが恋しくなり、黄昏ぬままの夜が来て、光なくて、不安定。 徐々に馴染んで染まりだす。 夜に滲んで濁りだす。 たった一つの光を見上げて、暗いものから目を背ける。 いずれ光が嫌になる。 光がまぶしく目が眩む。 目玉が眩んで暗がりへ。 下へ下へと視線を落とす。 夜に馴染んで、染まる染まる。 暗い奥の底、染まる染まる。 いずれ光がやってくる。 世界に目玉が眩みだす。
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