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「じゃあ次は、先に見つかったおねえちゃんがオニね」
そういって、二人はすぐに走り出した。
わたしは、目をつむり数をかぞえる。
いくつ数えればいいんだろう? 十……は少ないかあ。じゃあ、百? ちょっと長いかなあ。
とりあえず、五十のところで、
「もう良いかーい?」と確認してみる。
――返事はない。
もう探し始めてもいいのかな。
辺りを見回してみる……が、当然二人の姿が見えるはずもない。
二足歩行のウサギの出てきたイカ型のロケットが、絵に描いたような赤とオレンジの炎をあげながら、真っ黒の海へと飛んでゆく。一つだけ付いた窓からこちらを見ている気がしたので、わたしは手を振った。
ウサギって、どう鳴くんだろ?
二人を探して歩き回る。そんなに遠くへは行かないはずだからと、近場の物陰を探しまわる。
うーんと、あとどこ探してないかな。
……ああ、あそこか……あそこは、さすがにいないよね。
その場所に近づいてみる。そこは、三角形の建物の残骸。わたしが先ほど隠れていた場所。
「誰か居ますかあ?」
と確認するように中に声をかける。
「だ、誰もいません事ですわよっ」
その、誰もいないという空間から、無理に高くして、震える女の子の声が返ってきた。
少ししゃがみ、中を覗き込む。
「み~つけたっ」
さっきわたしが座っていた場所と、同じ場所に同じ形でヒイが座っていた。声をかけると、すねたように唇をとがらせながらその場所から出てくる。
「どうして、同じ場所に隠れてたの?」
「だって、さっきと同じ場所に隠れてるなんて誰も考えないでしょ。だから……」
「まあ、それは、そうだけどさ」
付近を見回し、セイを探す。
ヒイは見つかって悔しいのか、ふてくされているのか、三角形の残骸の横に座り、どこか空中を見つめている。
さて、他にどこか隠れられるような場所あったかな? もしかして、遠くまで行っちゃった?
相手はあのセイだから油断できない。そう心の中で念じながら探し続ける。
――見つからない。
近くの物陰は全部探したはず。なのに、見つからない。
そういえば、ヒイとセイが二人でかくれんぼした時に隠れてた場所って……。
勢いよく振り返り、空を見上げる。
いくつか並んだ星。全部を確認できないような数じゃない。
「ねー、もう飽きちゃったよー」
降参ということで、二人でセイを呼んでみる。しかし、なかなか返事がない。
少し心配になり、声を大きくし呼び続ける。
近くに、さっき飛んで行ったウサギのロケットが、音を立てず、カラフルな光を上げながら降りてきた。
扉が開き、二足歩行のウサギが出てくる。一人、二人、そして最後に、なぜかセイが出てきた。
「また、見つけられない、なんて、だらしないなあ」
得意げに言うセイ。
いや、乗物に乗って移動するのは反則なんじゃないかなあ……。とは、どうにも大人げなくて言えない。
ヒイも何も言わないので、黙っておくことにした。
「じゃあ、次はセイがオニねっ」
とヒイは自信満々に言う。しかしセイは、
「ぼくはね、追うより、追われるタイプ、なんだ」
要するに、オニ役をやりたくないらしい。
それを聞いたヒイは頬を膨らませ抗議しようとしている。
「あ、あのさっ、わたし疲れちゃったから、休憩にしない?」
そう言うと、二人は同時に「仕方ないなあ」と言った。
セイがそれを言うのか……。
右からセイ、ヒイ、わたしの順で地面に寝転がりながら星を見る。
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