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「お、お、お義父さん!」
「お前にお義父さんと呼ばれる筋合いは、なーい!」
「あわわわ。」
さっきより元気よく挨拶できたものの、またも順平は恐怖で何も言えなくなった。
そんな順平を京子の父親は、先ほど同様の恐怖の視線で値踏みした。
「貴様、今日は挨拶に来ると聞いておったが。」
「あ、は、はい!あの、ご、ご挨拶に!」
京子の父親は、これまた先ほどと同じように、ギロリと視線を決め直すと、顎に手を当てながら順平に言った。
「貴様・・・鼻血が出ておるではないか!」
「え?あ、鼻血・・?」
「大事な挨拶をする時に、鼻血が出ているやつなんぞ信用できるかーっ!」
玄関の引き戸が、また激しく閉められた。順平は、また固まってしまった。
京子は、また呑気に言った。
「あらら。鼻血が出ていたか~。てへぺろって感じだね。」
「ちょっと、京子ちゃん。どうしてくれるの!」
「私に言われたって、順平君が興奮しすぎなのよ。中二か!」
「違うでしょ!京子ちゃんが鼻毛を勢いよく引っこ抜いたからでしょ!」
「まあまあ、落ち着いて。次があるさ。」
どこまでも呑気な京子であった。俺がこんなに苦しい思いをしているのに、と順平は憤った。
「いや、もう無理。無理に濁点を付けるほど無理。ヴヴィ!・・・いや、待てよ。リセットボタンがある!」
「いやいや、お守りって思って買ってきたけど、冗談グッズだから。」
「いや、違うんだよ。マジですごいんだよ、このリセットボタン。」
「え~、オモチャに頼るの~。私、そんな人に人生預けるの~?」
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