9人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「まあ、そう言わずに。」
緊張のあまり冗談を言ったのかと思ったら割とマジだったので、京子は順平のことをちょっと気持ち悪いと思った。
そんな京子の軽蔑の視線を受け流し、順平はリセットボタンを頭上に掲げると、高らかな声とともに、ボタンを押した。
「リセットボタン!あ、それ、ポチッとな!」
世界がグニャっと曲がってシュッと消え、ポンと弾けて再生された。また少し前に時間が戻った。
「うっぷ。この気持ち悪さ、よし!戻った!」
「ちょっと、しっかりしてよ~・・。」
「しっかりカリカリ・カリビアン!」
京子が両手で大きなハートを作ろうとした瞬間、順平は素早い動きでハートを作り叫んでいた。京子は唖然とした。
「わ、私が昨日寝ないで考えたギャグを・・・。なぜ?」
「まあ、詳しい説明はあと。それより、俺、鼻毛出てない?」
「うん。ごっさ出てる。」
鼻毛の毛量表現がリセットされる前よりグレードアップしていた。
「抜こうか?」
「ちょっ!抜くのはやめて!」
「ええ?もう私の家に着いちゃうよ?」
ちょっと考えて、順平は京子に聞いた。
「京子ちゃん、鼻毛バサミ持ってない?」
「逆に聞くけど、順平は私が鼻毛バサミを持ち歩く人だと思ってたの?私、鼻毛が出ていたことある?」
「言い争いしている時間はないよ。なんか、ハサミ的なもの持ってない?」
「ちょっと!私のかばん、勝手にあさらないで!」
順平は京子のカバンを奪い取った。そして、カバンの中のものを道路にポイポイ放り投げながら、鼻毛切りバサミを探した。
最初のコメントを投稿しよう!