3/4
前へ
/9ページ
次へ
「悠吾、目立つところは変わってないね」 鼓動を誤魔化してやっと言葉が出てきた。 ちょうど横を通ったウエイターから新しいシャンパンを受け取る。 悠吾は自分の部活仲間と笑っているようだった。 それを見てドキッとした。 目尻が思いっきり下がって、口が大きめに開く。 目をそらしたくなるほど懐かしい表情.......。 「ねぇ、莉奈」 「何?」 ナミの呼ぶ声は急に落ち着いた声だった。 「どうして悠吾と一緒にならなかったの?」 ほんの一瞬だけ、時が止まったように固まった。 まさかそんなことを聞かれるなんて思っていなかったのだ。 私は、え?とだけ笑ってみせる。 「だって、当時はクラスのほとんどが一緒になるって思ってたんだよ?みんな言わなかったけどさ」 「.....何それ」 驚きを隠せなかった。 私はあの当時、誰にもそういった類いを言ったことはなかったのだ。 今隣にいる親友にだって、誰にだって言ったことがない。 「ただ私と悠吾がよく喋ってたりしてたからでしょ?笑」 「まだそうやって言うの? 1番変わってないのは莉奈だねえ笑」 ちょっとそれどういう意味? そう言い返す前に、目の前に影が差した。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加