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「悠吾、目立つところは変わってないね」
鼓動を誤魔化してやっと言葉が出てきた。
ちょうど横を通ったウエイターから新しいシャンパンを受け取る。
悠吾は自分の部活仲間と笑っているようだった。
それを見てドキッとした。
目尻が思いっきり下がって、口が大きめに開く。
目をそらしたくなるほど懐かしい表情.......。
「ねぇ、莉奈」
「何?」
ナミの呼ぶ声は急に落ち着いた声だった。
「どうして悠吾と一緒にならなかったの?」
ほんの一瞬だけ、時が止まったように固まった。
まさかそんなことを聞かれるなんて思っていなかったのだ。
私は、え?とだけ笑ってみせる。
「だって、当時はクラスのほとんどが一緒になるって思ってたんだよ?みんな言わなかったけどさ」
「.....何それ」
驚きを隠せなかった。
私はあの当時、誰にもそういった類いを言ったことはなかったのだ。
今隣にいる親友にだって、誰にだって言ったことがない。
「ただ私と悠吾がよく喋ってたりしてたからでしょ?笑」
「まだそうやって言うの?
1番変わってないのは莉奈だねえ笑」
ちょっとそれどういう意味?
そう言い返す前に、目の前に影が差した。
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