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毛倡妓(♀×♀)
『ふぅ…。あんた、今日から私の世話役だからね。』
この遊廓へ来てからは、いつもの様に与えられた部屋の隅で座り込んでいた私の元へやって来たのは、この店で一番人気のあの方だった。
あの方は部屋へ来るなり、溜め息を吐きながら私の顔を両手で挟み込む様にして上向かせ、呆けている私に一言そう告げた。
次の日からは、何も考える暇など無く働き続ける日々が始まった。
夜はあの方に付いて客の相手をし、昼はあの方の身の回りのお世話。
私が疲れきっている事に気付くと、あの方は私のした仕事の良い面を褒めてくれたり、叱った後にさりげ無い慰めの言葉をくれた。
毎日をそんな風に過ごしている内に、段々とここの生活が楽しくなり始め、私はここへ連れて来られた事を悲しむ事は無くなった。
同時に、あの方に対して今まで感じた事の無い気持ちを抱き、あの方が客と一緒の夜は胸を締め付けられる様になっていった。
そんな日々が、何の前触れも無く、突然終わりを告げた。
あの方は客から病気を移され、床に臥せって数日後、ひっそりと息を引き取った。
あの方を好いていた周りの遊女達はそれぞれに嘆いていたが、看取った私はあの方が居なくなった事に虚無感を感じ、段々と仕事にも精が出なくなっていた。
(…あの噂は…。)
あの方が亡くなり数ヵ月が経った頃、遊廓内である噂が立ち始めた。
‘夜になるとあの方が、客を待ってある場所に現れる。’
噂は、憔悴しきって部屋に籠っていた私の耳にも届き、私は確かめずにはいられなくなった。
その夜、主人が気を遣いながら私に指名が付いた事と相手を出来るかを訊ねて来て、これ幸いと私は二つ返事で承諾した。
客は、久し振りに私に会えた事を喜び、あの方への弔いを口にする。
その口で、私の身体中に痕を残し、ナカで果てると、私を抱き締めて気持ち良さそうに眠りに就いた。
夜が更けた頃、客の腕の中からすり抜け、衣服を纏い、あの方が現れると言う場所へ急いで向かった。
その時、向かった先から叫び声が聞こえ、私ははやる気持ちを抑えながら足を早めた。
「あっ!………お久し、振りです…。」
「………………。」
向かった先では、髪を垂らした女が佇んでいて、足元には気を失った客が倒れていた。
顔は見ていないが、着ている服から、私には直ぐにあの方であると分かった。
声を掛けたが反応は無く、この方らしくないと思いながら肩に手を掛ける。
ゆっくりと振り返ったこの方は、顔と思われる方にも髪の毛がびっしりと生えていて、あの顔を見る事は出来なかった。
少し驚いたけれど、またこの方に会えたのだと思うと嬉しくて、涙が零れる。
瞬間、遠くから人が近付いて来る音がして、慌ててこの方の手を引いて私の部屋へと駆け込んだ。
「すみません…。もう少し、一緒に居たくて…。」
「………………。」
「………私、貴女が…、…………好き、です…。」
「………………。」
“スッ”
「!!………っ御免なさい。」
“ドサッ”
気持ちを伝え、俯いた私の頭を撫でたこの方に我慢が出来無くなってしまい、この方を押し倒していた。
この方は抵抗を見せず、その事に私は更に自制が効かなくなり、この方の胸元の合わせ目へ手を掛けて勢い良く開いた。
肌は白く、どこか儚さが漂っていて、それが私の行為を助長させる。
「私は…、ふっ、貴女が、居なくなって…、寂しかった…。んっ、…だから、こうして会えて…、嬉しい、です…。」
「………………。」
首筋へ唇を落とし、ゆっくりと痕を付けながら、そっと下半身へと手を伸ばす。
尚も抵抗しないこの方を味わう様に舌を這わせ、胸元のまで来ると、片方の突起を口に含んだ。
もう片方の乳房は、空いている片手で揉みしだいていく。
胸への刺激に反応し始めたのか、この方の下半身は徐々に濡れて行き、私はその事が嬉しくて、下半身へ伸ばしていた方の指をこの方のナカへと差し込んだ。
私の愛撫に反応するこの方に、私の下半身も既に濡れていて、内腿の辺りまで愛液が滴っていた。
「んっ…、気持ち、良いですか…?私、今…ふぅっ、とても、幸せで…あんっ!?」
あまりにこの方を味わう事に夢中になり過ぎていて、この方の手が私の下半身へ伸びて来ている事に気付かなかった。
お尻の方から、スゥッと前の方へ撫でる様に手を動かされ、その事に驚いていると、この方の指が私のナカへと侵入して来た。
指は私のナカを掻き回す様に動き回り、ナカからはどんどん愛液が溢れ出て来る。
私も負けじとこの方を責めてはみたものの、勝てる気はしなかった。
「うぁっ…、んん…。そんな、に…、いぁっ…ん、掻き回さない…で…。」
「………………。」
「やぁっ、イッちゃいます…!!」
「………………御免なさいね…。有難う…。」
私が達すると同時に、この方も達したらしく、私の指を締め付けた。
その時、ずっと無言だったこの方の声が聞こえた様な気がして、顔を確認しようとした途端、意識が飛んで気を失った。
次に目を覚ましたのは私を指名した客の腕の中で、あれが夢だったのか現実だったのかは分からず、ぼんやりしている内に疲れもあってもう一度眠りに就いた。
だけど、次に目を覚ました私が部屋へ戻ると、あれが夢では無い事を知った。
その日以来、あの方の噂は聞かなくなり、私は少しだけ仕事に精が出る様になったのだ。
(あの方は、これからも私の側に居てくれる。この髪を私にくれたのだから。)
終わり
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