帰結

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「だいたい先生んちの冷蔵庫、物無さ過ぎですよ!なんでも賞味期限切れるし!」 「……お前も切れてんなあ……」  他人事の様にのほほんとした口調に、千都香はますます腹を立てた。 「切れさせてるのは誰ですかっ!?毅さんの友なのに、類じゃ無さ過ぎ!」 「……何言ってんだ?」  壮介はそこで手を止めた。椅子の上で、伸びをする。 「千都香。」 「はい!?」  特に変わった様子も無く、淡々と。 「お前、そろそろ正式に辞めろ。」  壮介が、そう言った。    * 「いらっしゃいませ、お待ちしてまし……」  約束していた訪問を受けて、佐東麻は玄関まで出迎えた。 「……千都香さん?!」 「……こんにちは、麻さん……」  上着も着ていない軽装で血の気のない顔色の千都香が、明らかに泣いていたと分かる笑顔で、そこに居た。
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