167人が本棚に入れています
本棚に追加
/313ページ
「お前は昨日、俺の事を裏切った。……そう思うのは、仕方ないよな?」
「……ああ」
「殴りつけたい所だが、手は大切な道具だ。……お前にとっても、そうだよな?」
「……ああ……」
「付いて来い」
毅は框からたたきに下りると靴を履き、壮介の前を通り越した。そのまま外に出て、歩いて行く。壮介はそれに付いて行った。
「そこに立て」
毅は、立ち止まって壮介に命じた。
立て、と言われた場所は、畑らしき所だった。藁や土が混ざった物が山にして積んである、その手前だ。
「……ボディーチェックって、知ってるか?」
「身体検査か?」
毅は何やらストレッチをしながら、薄く笑った。
「フルコンタクトのスポーツの経験は?」
「フルコンタクト?空手か?」
「空手だけじゃない。それ以外にも、ラグビー、柔道、」
「柔道なら……体育の授業程度だが」
「そうか。…………それに、アメフト……他にも有るぞ、」
『君は、がっしりしているなあ。何かスポーツでもやってたの?』
毅が動いた瞬間に、大学入学後初めての自己紹介での恩師の言葉を思い出した。
と同時に体の前面に何事かと思うレベルの衝撃を受け、思い切り後ろに吹っ飛んだ。
「……アイスホッケーも、その一つだ」
壮介は意識が半分飛んだ状態で、そんな言葉を頭上に聞いた。
最初のコメントを投稿しよう!