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「え。分かってたの?分かっててなんで行くの」
「行っちゃ悪いかよ」
「いや……悪くは無いよ。」
三度目の正直とでも言うのか、拗ねた様に呟いた壮介に、和史は言い切った。
「良いんだよ、居留守なら居留守でも」
「良いの?」
「……良くは無ぇけど、家に籠もってんなら居場所が知れてるだけマシだろ。あいつが辛くなきゃ、何でも良いんだよ」
「ふーん。千都ちゃんが、そんなに大事なんだ」
「当たり前だろ」
和史は目を見開いて壮介を見て、ふーっと息を吐いた。
「……長かったなあ……」
「あん?何がだ?」
「お前の嘘?」
「う」
「嘘って言うのは、ちょっと違うか。仕方なかったのは分かってたけど、無理は良くないなーと思って見てた」
「……別に、そんなに無理は……」
「無理だったから、こんなにこんがらかってるんだろ」
壮介は口籠もり、和史は笑った。
「良かったよ。お前だけじゃ無かったからさ、辛そうだったの」
「……毅か?」
「そこで、どうしてそうなるんだ……千都ちゃんだろ」
「っ」
呆れた口調で言われて、壮介は絶句した。
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