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「だからさあ。途中で、ご飯食べない?」
「え?」
「途中まで歩いてお店入ったら、またご飯のあと歩く気になるよね?今日、梨香姉居ないしさあ。ご飯食べて、新宿から始発で帰ろうよ」
「でも」
千都香の頭の中を、冷蔵庫の中身がよぎった。居候の身なので、買い物以外の家事はなるべく引き受けている。
しかし、確かに雪彦の言う通りではある。
今日梨香は出張で不在だ。二人しか居ないのだから、どこかで二人で夕飯を取って帰れば、それで済む。
「今日使う予定だった食材は、明日使えば良いよ。せっかくひさびさに新宿来たんだしさ。まなちんのプレゼント選んで貰ったお礼に、俺がおごるし」
「いいよ、そんなの……そうだね。じゃ、食べて帰ろっか」
千都香は、それはそれと割り切る事にした。早く帰れない分、家に帰ったらお風呂に入ってさっさと寝れば良いだろう。
「やった!……何食べたい?何でもいい?」
「うん。ただ、あんまりこってりしてたり、辛かったり、お腹に溜まりそうな物はちょっと……」
最近食が細くなっている。外食で具合が悪くなるのは避けたかった。
「分かった、あっさり系ね。店選びは任せて!」
雪彦はにこっと笑うと、スマホを操作し始めた。
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