ちぃちゃんはどこ?

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「俺らは普通の従姉弟じゃないよ?おばちゃんたち──ちぃ姉の両親は、あんたが実際に会うより先に、俺らに聞いて来ると思うよ。どういう奴か知ってるか、って」 「ゆきっ!?」  千都香は思わず振り向いて、壮介から身を離した。  雪彦の言うことは、おそらく正しい。央子(ひろこ)が結婚する前も、両親より先に従姉妹たちに(ひさし)の事を紹介して、宜しく頼むと根回ししていた。  壮介の事をちゃんと見て、千都香の話を聞いてくれれば、分かって貰える話だとは思う。  しかし、その前に雪彦や梨香に悪条件ばかりを並べ立てられたら、会う事はおろか、聞く耳すら持って貰えないかもしれない。 「千都香。落ち着け」 「だって、」 「大丈夫だ。ゆき君は好意で教えてくれたんだから」 「え?」  (ちげ)ぇし、とそっぽを向いた雪彦に、壮介は頭を下げた。 「ありがとな。それも含めて考えた上で、一緒になるって決めたんだ。……全部、どうにかする」 「あっそ!」  雪彦は扉に手を掛けた。 「じゃあね、ちぃ姉。梨香姉には、てきとーに言っとくから……あ、すみません」 「いえ……失礼致します」  雪彦が扉から出ると、入れ替わりに店員が現れた。 「……お部屋のラストオーダーのお時間ですが、ご注文はお有りですか?」  もうそんなに時間が経ったのか、と千都香は驚いた。
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