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悩んでいると、
「わーい! かっぱ太郎だ〜!」
「こら、さっちゃん! 待ちなさい!」
元気な子どもたちが目の前を駆け抜けて行った。
その様子を、間近で見た星風くんは、
「やめとこう。子どもの前では流石にちょっと」
「……。」
何が流石にちょっとなのかということは、言わずもがな分かった気がして、言及しなかった。
やっぱり星風くんの頭の中は、キスありきなのだ。
(うう、複雑……)
私といるのは、キスがしたいから? キスするため?
いやいや、星風くんなら、私に限らずキスさせてくれる女の子はごまんといるだろうし(むしろして欲しい子の方が多いだろう)、3年間、飽きずに私とキスしたいと思ってくれていることに感情を通り越して感謝するべきなのかもしれない。
キスはキスでもただ唇を重ねるだけのキスで、いわゆる深いキス……舌がどうこうゴニョゴニョ……というキスではない。
実にフランク! 小鳥キッス!
嗚呼、これってどういうプレイなの!?
私は一体どういう立ち位置なの!?
頭を抱えて苦悩していたら……、
「山加って本当、可愛いよな」
「!?」
星風くんはやはりの無表情で、抑揚なくそう言った。
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