01.セフレならぬキスフレンドってやつ

14/18

183人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
まるで女子。 しかもいじめっ子の。 星風くんと仲良くなって以降、一定数の女子にそんな目で見られ慣れているので、危険予知能力もそれなりに身についていた。 ──この人とは関わっちゃいけない。 私の中のレーダーがそう言っている。 そそそ……と、星風くんの背中に隠れる。 「……。」 そんな私の態度に、いじめっ子(偏見)の彼の目尻がピクリと動いたことまでは、私も気がつかなかった。 彼らと離れ、再び歩き出した星風くんにちょこちょこと付いて歩く。 「今のは……?」 「小学校の頃の同級生」 「小学生の頃の……」 あれ? 私たちの出身中学は、いたって普通の公立校で、基本的に学校区で分けられている。 3つの小学校が合わさる大規模校だ。 私はそのうちの、制服があって素朴な子が多い方の小学校出身。 星風くんは、私服でオシャレで大人びた子が多い方の小学校出身。 「でも……今の人たち、うちの中学にはいなかったよね?」 目立ちそうなのに、全く記憶にない。 「アイツらみんな中学受験してるから」 「あっ、そうなんだ」 「俺も受けたけど」 「えっ」 「でも行かなかった。……面倒で」 よ、良かったぁ……! もし、星風くんが私立中に行ってたら、私たち出逢えなかった。 星風くんを知らないまま今の歳になっていたと思うと……、思うと……。 (どうだったんだろ!? 健全な生活を送ってたの!? 至って普通の恋をしてたの!?) ……こんな風に苦しくなったり、せずに済んだの? 「……なに微妙な顔してんの」 「う、ううんっ! 星風くんが私立中に行ってたら、知り合うことはなかったんだろうなぁって思って……」 そう思うと、やっぱり寂しい。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

183人が本棚に入れています
本棚に追加