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まるで女子。
しかもいじめっ子の。
星風くんと仲良くなって以降、一定数の女子にそんな目で見られ慣れているので、危険予知能力もそれなりに身についていた。
──この人とは関わっちゃいけない。
私の中のレーダーがそう言っている。
そそそ……と、星風くんの背中に隠れる。
「……。」
そんな私の態度に、いじめっ子(偏見)の彼の目尻がピクリと動いたことまでは、私も気がつかなかった。
彼らと離れ、再び歩き出した星風くんにちょこちょこと付いて歩く。
「今のは……?」
「小学校の頃の同級生」
「小学生の頃の……」
あれ?
私たちの出身中学は、いたって普通の公立校で、基本的に学校区で分けられている。
3つの小学校が合わさる大規模校だ。
私はそのうちの、制服があって素朴な子が多い方の小学校出身。
星風くんは、私服でオシャレで大人びた子が多い方の小学校出身。
「でも……今の人たち、うちの中学にはいなかったよね?」
目立ちそうなのに、全く記憶にない。
「アイツらみんな中学受験してるから」
「あっ、そうなんだ」
「俺も受けたけど」
「えっ」
「でも行かなかった。……面倒で」
よ、良かったぁ……!
もし、星風くんが私立中に行ってたら、私たち出逢えなかった。
星風くんを知らないまま今の歳になっていたと思うと……、思うと……。
(どうだったんだろ!? 健全な生活を送ってたの!? 至って普通の恋をしてたの!?)
……こんな風に苦しくなったり、せずに済んだの?
「……なに微妙な顔してんの」
「う、ううんっ! 星風くんが私立中に行ってたら、知り合うことはなかったんだろうなぁって思って……」
そう思うと、やっぱり寂しい。
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