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とはいえ、なんとも言えない微妙な面持ちで、眉尻を下げていると、
「──わっ!?」
星風くんにいきなり腕を引かれた。
プリ機の暖簾のようなものがパタリと顔に当たり、思わず面食らってまぶたを閉じた。
「……っ!」
その瞬間、塞がれた唇。
星風くんの大きな手のひらが私の後頭部を押さえて、いつもより強引に引き寄せられた。
「……!!!」
今まで一度だって動かされたことのなかった唇が、今日はなぜか動いた。
星風くんの唇に甘噛みされる形になって、思わずビクッと反応してしまう。
「……なっ、……なん……っ、ふゎっ……!?」
訊ねようと唇を離すと、すぐさま後追いされて捕まる。
今まで一度も味わったことのないキスに、心臓がばくばくと唸りを上げた。
「ほ、ほし、星風く……っ」
と。
背の高い星風くんを見上げ、力の入らなくなった足のせいで、体を預ける形になりかけた、その時。
「ほっし風〜! 俺らも仲間に入れろよー」
「!!!!!!!!」
許可なく、ノックなく、入ってきたさっきのメンバーに、腰が浮いた。
「……………って、あっ」
「……………………………っっっっっっっ」
「……………………………………………、」
抱きしめられている形になっていたこの姿を見て、先頭の彼が固まる。
私はダラダラと冷や汗が噴き出す。
私の背後にあるであろう星風くんから、氷点下のオーラが吹き付ける。
「おっ、お邪魔……っ」
暖簾を上げた男子が気まずそうに顔を背けた。
しかし。
いじめっ子は、臆することなく、意味深なセリフと共に分け入ってきた。
「ほんっと星風って、そういうとこ昔から抜かりないよな」
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