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「それってどういう」
と、聞き返そうとした時、いじめっ子はチャリンチャリンとお金を入れて、撮影をスタートさせた。
さっきのメンバー4人と私たち、合わせて6人。
状況も状況だし、さっきのキスもキス。
なんだか色んなところから色んなものが溢れ出しそうになって、思わずぎゅっとスカートを握っていると、私の隣で何一つ取り乱していない星風くんは、気怠そうな目で騒がしい彼らを見ていた。
彼らよりも頭一つ分背の高い星風くんは、ため息混じりに襟足を掻き、
「山加、ちょっと……」
狭い撮影スペースの中で私を手招きした。
ああ、さっきのキスのせいか、まともに顔が見られない。
今まであんなキス、あんな、あんな……、
(大人っぽいキス……!!!!)
シューシューと蒸気が出ている顔を、堪らず押さえていると、
「!?」
画面に夢中になっている彼らの後ろ、星風くんが私の手を払い、またキスをした。
また!
「……なっ……!」
画面に夢中になっていた彼らとて、ただ画面だけを見ていたわけじゃない。
既にカメラモードは始まっていたわけで、つまりは……つまりは。
「星……っ、おまっ、なにやってんだよっ」
ばっちり目撃した彼らが真っ赤になってこちらを振り返った。
「……なにって……、お前らがいても、好きにさせてもらうし」
「はぁ!?」
「ヤなら出てって」
「ほ、星風、お前なぁ……!」
──お前のそのマイペースなとこ、ほんっっと変わらないな!
そう言った元同級生に、私は心底共感した。
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