01.セフレならぬキスフレンドってやつ

2/18
183人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
初めてキスをしたのは、中学1年生の時。 宿泊学習で、クラス全員で星を見に、宿泊棟の外に出た夜だった。 山の中で見上げる星空は想像を超えるほど綺麗で、夢中になって見惚れていたら、ふいに背中がぶつかった。 『わっ、ごめ……、──ほっ、星風くんっ!!』 そのとき既に、私は星風くんのことが好きだった。 ぶつかった偶然に、今しがた夢中になっていた星のことなど全て吹っ飛んだ。 今が夜で良かった。 じゃないと真っ赤になった私の顔が、気持ちを暴露させていた。 星風彼方(ほしかぜかなた)くん。 初めて名前を聞いた時から胸はときめいて、教室で話すことなんて全然出来なかったけど、ただ同じクラスの中にいられるだけで幸せだった。 そんな星風くんとぶつかった偶然に息の根が止まりかけた。 何か、何か気の利いたことを言わなくては……! と、思ったのも束の間。 降り注いだ、一筋の流れ星。 ──わぁ……! みんなが声を上げたのをBGMに、思考を止める事態が起こった。 クールで表情の崩れない星風くんの瞳が、私の全てを封じ込めて、気づけば唇が触れていた。 流れ星みたいなキス。 願いを叶えるように降り注いだキス。 (……嗚呼、私、両思いだったんだ……?) そう思ったあの日の私を、 あの日の私を、 心の底から罵ってやりたい。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!