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初めてキスをしたのは、中学1年生の時。
宿泊学習で、クラス全員で星を見に、宿泊棟の外に出た夜だった。
山の中で見上げる星空は想像を超えるほど綺麗で、夢中になって見惚れていたら、ふいに背中がぶつかった。
『わっ、ごめ……、──ほっ、星風くんっ!!』
そのとき既に、私は星風くんのことが好きだった。
ぶつかった偶然に、今しがた夢中になっていた星のことなど全て吹っ飛んだ。
今が夜で良かった。
じゃないと真っ赤になった私の顔が、気持ちを暴露させていた。
星風彼方くん。
初めて名前を聞いた時から胸はときめいて、教室で話すことなんて全然出来なかったけど、ただ同じクラスの中にいられるだけで幸せだった。
そんな星風くんとぶつかった偶然に息の根が止まりかけた。
何か、何か気の利いたことを言わなくては……!
と、思ったのも束の間。
降り注いだ、一筋の流れ星。
──わぁ……!
みんなが声を上げたのをBGMに、思考を止める事態が起こった。
クールで表情の崩れない星風くんの瞳が、私の全てを封じ込めて、気づけば唇が触れていた。
流れ星みたいなキス。
願いを叶えるように降り注いだキス。
(……嗚呼、私、両思いだったんだ……?)
そう思ったあの日の私を、
あの日の私を、
心の底から罵ってやりたい。
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