01.セフレならぬキスフレンドってやつ

3/18

183人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
「とは言ってもさぁ、高校生になってから、ずっと一緒にお弁当食べてるんでしょ? そんで、別れ際にはお約束のキス。放課後も星風くんの部活がない日はいつも一緒に帰ってるし、その別れ際にも毎回キス。土日だって遊ぶことあるんでしょ? そんでお決まりの隙あらばキス。  ……それのどこが“付き合ってない”の? 付き合ってるでしょどう考えたって。山加(やまか)が忘れてるだけじゃないの? 付き合おうって言われたの」 あの日からずっと、ずぅぅぅぅぅと注意深く観察していた。 いつか星風くんから「付き合おう」とか「彼女になって」だとか、言われることを待ち望んでいた。 ……しかし。 「それが言われてないから困ってるの! 悩んでるの! 私、いつの間にか、セフレならぬキスフレンド……キスフレってやつになっちゃってたのかもしれない……!!!」 「…………、いやいや、キスフレとか聞いたことないし。第一キスで止める理由はなによ?」 頭を抱える私に、友人の蒼葉(あおは)ちゃんが問う。 「それがさ、キスフレって流行ってるらしいんだよ」 「え?」 スマホを取り出し、「キスフレ」と検索して見せる。 「……うわ、まじか……」 「最近、そういう関係を持つ人が増えてるって」 「聞いたことなかったけどな」 「しかも理由がだいだいマイナス」 「1位セフレになりたい。  2位好きだと言えない。……え、いいじゃん、この可能性大でしょ」 「下まで見てみて」 「3位好きかどうか分からない。  4位とりあえずキスしたい。  ………おおう」 「でしょ、そうなるでしょっ」 だくっと顔を手で覆った。 「だって、初めてキスした時、関わり0だったんだよ!? ただのクラスメイトで私が一方的に片思いしてただけ! ……今思えばその好きが透けて見えてたんだろうね!? こいつ俺のこと好きだぞ、キスしてもいいだろ、的な!」 「……あの、山加ちゃん、星風くんのこと好きなんだよね……? なんか酷いこと言ってますが……」 蒼葉ちゃんが口元を隠すように手を置いて、私に訊ねた。 「好きだから困ってるんだよっ!」
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

183人が本棚に入れています
本棚に追加