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「お世話になりました……っ!」
「? どういうこと?」
離れようとした瞬間、すかさずパシッと手首を掴まれ、また星風くんの元に逆戻り。
「話にならないっ!」
「山加は山加で、キスしたいと思ったからキスしてる。……何が分からない?」
「……っ」
こ、この男は……っ!
「本気で言ってる……!?」
「常に本気だけど」
「ああ、そうっ! 私はただのキスするだけの存在なんだ!」
「……は?」
「そうやって3年間、3年間も、私、星風くんのこと好きだったけど……、もうもう……、星風くんを好きなの辞めるっ!」
「……!」
「こんな関係ももう辞める! 私、自分を好きになってくれる人とキスするっ!!!」
ぎゅっと目を瞑り、拳を握り、まるで子どもが強がりでいじけているような態度になってしまった。
欲しいおもちゃが手に入らなくて。
欲しい気持ちが手に入らなくて。
「……ちょっと待って。今、なんて言った……?」
「……へ……っ……」
喚いていた私の上に影を作って、星風くんの瞳がゆらりと揺れた。
その瞳は、ひんやりと冷たく、そして理解しがたいと非難の色を纏っていた。
「自分を好きになってくれる人……? なに言ってんの……?」
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