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「やっ、星風くんだ、ラッキ〜」
「……、」
廊下を歩くと、最近こんな光景をよく目にする。
3年前の私には、先見の明があった。
華奢で綺麗な顔立ちをしていた少年は、この3年でむっちゃくっちゃいい男に成長した。そう、むっちゃくっちゃ。
180cm近い長身に、惚れ惚れしてしまうほど高くて形のいい鼻筋。
横顔がまつげの長さを強調し、二重なのにシャープな眼差しは、一瞬で乙女心をロックオン。
少し明るめの髪色が日本人離れした容姿を助長して、最近ではもっぱら、星風くんはハーフ説が巷を賑わせている。
高校生になって早1ヶ月。
毎日当たり前のように、肩を並べてお弁当を食べているのが苦しくなってきた。
(明日こそは、明日こそは……絶対言う……!)
もうこの関係は終わりにしようと。
絶対、言う!
蒼葉ちゃんと、星風くんのクラスの前をそそくさと通り過ぎ、5時間目の授業がある理科室へと向かった。
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