第3話

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第3話

 業界最大手の家電メーカーだが、卸している数が多いだけ、修理も多い。  俺は書類の作成や書類の承認に追われているが、豪は持ち込み修理に追われているようだ。  とはいえ、基板の交換や外側の割れたケースを取り換えるなど、簡単に済むものばかりのようで、次から次に修理を完了させていく。 「あれ、NW-3XYの基板って支店内になかったですっけ?」  修理に必要な基板が足りなくなったらしい。  今日は女性の一般職が有給を取っているので、そんなことを調べるのにも時間がかかる。 「うーん、倉庫探してみるか」  幸多支店内にある倉庫は、基板やその他あまり使われない部品が多く保管されている。  あまりこの支店は倉庫の整理をしていないらしく、乱雑に部品や基板が棚の上に重ねて置かれていた。 「酷いなぁ、こりゃ」  その酷さに思わず声に出してしまった。 「ですねぇ……、ちょっとこれは探すのに苦労しますね」  豪もため息まじりにそう言った。 「NW-3XYの基板だっけ? せめて型番のアルファベット順に置いてくれていたら楽なのになぁ」 「今度暇な時整理した方がいいですね」 「それ、手伝うよ」 「いいんですか? 所長サマがお片付けなんて」 「いいよ、どうせ最近は修理もしないし、書類の作成と承認する書類の確認だけだから」 「あれ? 瀬尾所長は技術的なこともできるんでしたっけ?」 「ああ、元々俺も技術で入社したからな」 「へぇ、そうなんですね。ところで瀬尾所長」 「なん……んんっ?!」  キスをされた。あまりに不意打ちだったので、変な声が出てしまった。 「俺、気が付いたんですけど、ここって密室ですよね」 「まあ、そうだけど」 「ここならセックスしてもバレないよな?」 「はぁ?」 「だって龍也、すぐシたくなるだろ?」  なんて奴。なんて奴だ。  なんて、俺のことを分かってるやつなんだ!  自分好みの顔の男に迫られて、そういう気分にならない奴がいるか? いや、いない。 「ま、まだプライベートの時間じゃないぞ。まあ……こんな倉庫に入ってくる他部署の人間なんて、いないだろうしな」 「素直じゃないなぁ……瀬尾所長」  耳たぶに歯を立てられる。 「ん……っ、ごうっ!」  舌の濡れた感触が気持ちいい。 「シーッ、静かに」 「んんっ、はぁ」  キスをしながら、スラックスの前を開かれ、ダイレクトに股間を触られる。 「おい、本気か?」 「ゴムつけたら大丈夫だって……はい、龍也もつけて」  今やめても、確かに辛いだけだ。  俺はスラックスとパンツを太ももまでずらし、自分の大きくなったそれにゴムを被せる。 「ちゃんと、パウチのローションも持ち歩いてるんですよ。所長エロいから」  別に俺はエロくない。 「普通、そんなモン持ち歩かないだろ……あぅ」  くちゅん、と切ない水音が立つ。 「やっぱ、有事に備えてなんでも常備しとくのが、出来る男ですからね」  豪の指先が的確に俺の前立腺の部分を刺激する。 「あ、はぁ……んっ」 「龍也のココ、ホント柔らかいね。今まで何人とヤったの?」 「んんっ、忘れた……」 「妬けるなぁ」  そんな軽口を叩く豪にあきれつつ、スーツ越しに、豪の股間が膨らんでいるのが目に入る。 「あっ……豪、もう早く、入れろよ」 「オーケー」  カチャカチャと音を立ててスラックスの前を寛がせると、豪が自分のそれをパンツの間からずるりと引き出した。  相変わらずでかい。慣れた手つきで豪が勃ち上がった自身にゴムを被せる。 「じゃ、いきますよ」  ぐぷぷ、と大きな豪のそれが中に入ってくる。  口を手で押さえて漏れだす声を我慢した。  俺の鼻からの息と、豪の熱い吐息。そして水音が倉庫の中に静かに響く。 「んんっ……、ご、う、もう、いく、イクッ!」 「ん、俺も、龍也、一緒にイこ」 ばちゅん、ばちゅんと先ほどより激しい水音が耳に入る。 「ん、ん、んんっ~!」 「くっ!」  ゴム越しにどくりと欲が吐き出された感触を尻孔で感じる。  俺に付けていたゴムの精液だまりにも、濁った体液で先端が小さく膨らんでいた。 「こういうのも、興奮するね」  使用済みゴムの処理をしながら豪が言った。 「俺はベッドでする方が好きだ」 「じゃあまた今度、所長の家行っていいですか?」 「……いいよ」  そうして秘密の情事を終え、目当ての基板を探しあて、支店内の執務室へ向かう。  執務室へ入ると、業務課の女の子が怒った顔で連絡メモの束を渡してきた。 「ちょっと三浦さん、どこ行ってたんですか! 技術関係の問い合わせの電話ジャンジャンだったんですよ!」 「いや、ちょっと倉庫で基板探してて……ねえ、所長」 「そ、そうそう! ほら、まだここの倉庫とか慣れてないから、探すのに時間がかかってしまってね。ごめんね」 「それ、折り返し架けてくださいね!」 「はーい」  ふたりで架けたら、ひとりノルマは6件だ。  俺と豪は急ぎ電話を架けた。
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