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「ラッシュ、あれが……」
「――あぁ、やっとだ」
二人は揃って前方に指を指す。その方向には一つの空港町があった。そしてその向こうには雄大な空が広がっている。
そう、大陸の果てに辿り着いたのだ。だが3日間敵の追撃から逃れるためにまともな睡眠せずにいた二人に、素直に喜ぶ気力は生憎持ち合わせていない。というより母国を去るというやるせない気持ちのほうが勝っていた。
移動の最中、追撃にあった三人と隊員達は、敵から上手い事、二頭の馬を敵から奪取した。その馬の上にブライド、ラッシュ、そしてティナが居た。
親衛隊達は今頃は素晴らしい最期を迎えているだろう。主を守るために一緒に脱出した彼等は進んで残っていったのだ――
その主は民の服を着てブライドの濡れた背中で疲れたように眠っていた。
やがて二頭の馬は町の門をくぐった。町には同じく負傷した兵士達や難民で溢れていて、誰も三人の存在に気に止める者誰一人はいなかった。
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