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ブライドと王との間になんらかのアイコンタクトが行われる……
「ティナを連れて逃げるのじゃ!」
王がそう声を張り上げると一斉に敵がこちらに振り向く。ブライドは覚えていた。合戦前のフォーン国王との契りを――
「ティナ行くぞ!」
問答する前にブライドはティナの腕を掴み、回復した体を精一杯走らせる。ドラグスの手に魔力が高ぶる。それを止めんとばかりに王は王座に隠してあった毒塗りナイフを打ち出す。それはドラグスの背中に突き刺さった。
兵士達が一時的にドラグスに駆け寄ろうとする。
「私はいい! あいつらを追え!」
ドラグスはそう罵声を飛ばすと、兵士達は再び逃げた二人を追おうとする。しかしそれもさせまいと、王座のほうから光線が一閃し入口が塞がれる。
「――うっそぉ! なんでぇ~」
黒づくめの少年が慌てて呪文を唱え同じ動作を繰り返したが何も起きなかった。瓦礫を吹き飛ばそうとした試みも張られた結界により魔法は封じ込められていたのだ。
「貴様達の思う……通りには……させぬ……」
王は詠唱をしなかったので重度のエフォーがかかり息を詰まらせていた。ドラグスも不意に受けてしまったナイフが少し効いたのか、苦痛の表情を僅かに浮かべていた。
「消えよっ!」
ドラグスは両手に魔力を収束して何度も光線を放つ!しかし王は瞬時に張ったバリアを展開して弾いていた。
「そうかお前達! やはり貴様らは――」
「ほう我々の正体に気付いたか……だが遅い!」
全てを悟ったフォーン国王にドラグスは更なる魔力を投入する!
(ティナ……我が娘よ……強く生きよ……)
王はそう祈ると、ドラグスと対峙した……
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