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◆ ◆ ◆
「しかしどうしやす?あれは相当ォ頑固っスよ」
タスケの一言に北條は腕を組む。
───しばし、しばし待たれよ!!
遠くから城主が駆けてきた。
弱弱しく息せく肩と裏腹に、その瞳は懇願していた。
「さきほどは相すまぬ。非礼は詫びる。このとおりだ」
城主みずから首を下げた。
「母をはやくに亡くし、これといって子供らしいことはなにひとつさせてやれなかった。だから娘の物分かりに甘えておった。ゆえに父としてすべきことも靄をかけて見失っていた」
「───」
「わしにできることは全力でさせてもらう。どうか、娘を、国を救ってくれ」
月弥は一拍置いて、すでに手は打ってある、とつぶやいた。
「ほんとかッ」
「アンタには”監視室”の眼をそむけるよう手配してくれ」
「監視室?それは、どこのだ?」
月弥はニヤけて指さした。
日本一広大な──あの、”大監獄”を。
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