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◆ ◆ ◆
一抹の期待も持てなかった。
監獄に幽閉されてるとなると話は別だ。
どんな状況であれ、犯罪者でもない者が入れるはずもなく、もし足を踏み入れれば闖入者とみなされ幽閉されることだろう。城主がどれほど弁明しようとも変わらない。
乾坤堂がしようとしていることは、そういうことなのだ。
作戦には準備が要。
なぜか貞吉の背中に、貧乏神868号が乗っかっていた。
「どうしてぼくにとり憑かせたんですか!!」
「貧乏神だって仕事するときは気分よくしたいだろ」
「それに貧乏界から特別許可をいただいて調達したンスから」
「貧乏から恩受けて得あるわけないっしょ!」
「むっふう」
上機嫌だ。貞吉の背中がさらに重苦しくなった。
「手筈はわかってンな」
すべては───タスケの先導で開始する。
城主から調達した監獄の見取図を頼りに裏口から侵入し、868号を探査機替わりに行方を探させる。
厄介なのが、監視カメラだ。
与作ジジイが造った赤外線遮断外套で警報音は防げるが、モニターに映るすがたまではごまかせない。
月弥が監視室の見張りを城主に頼んだのは、そういう理由からだ。
それでも問題は山積みだ。
「月弥さん。この外套───なんで“まっピンク”なんですか?」
「ンなこと・・・・ジジイに聞けや」
「なんで黒にしなかったンスかね、マジで」
一同はおおきくため息をつき、いよいよ行動開始する。
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