第6話 【貧乏神《びんぼうがみ》奪取作戦《だっしゅさくせん》】

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  ◆   ◆   ◆ 月弥(ツクヤ)は、小石(こいし)欠片(かけら)のような()めた()で、一点(いってん)(にら)んだ。 それは、月弥たち【乾坤堂(けんこんどう)】の()荒家(あばらや)を、さらに()()たした元凶(げんきょう)三名(さんめい)。 それらが押しかけた突如(とつじょ)部屋(へや)(ひしめ)きを立て、くずおれたのだ。 襤褸(ぼろ)(まと)い、そこから骨皮(ほねかわ)枯枝(かれえだ)のような手足(てあし)がにょきりと生えている。ざんばらの蓬髪(ほうはつ)禿頭(とくとう)(こつ)ばった老人(ろうじん)ども。 「正体(しょうたい)はわかってるよ、あんたら」 ──『貧乏神(びんぼうがみ)』だろ。 みっつは(うなず)いた。 貧乏神──それは疫病神(やくびょうがみ)の一種。これに取り憑かれると福禄(ふくろく)(むさぼ)られ、家は(ほろ)ぶという。 それがみっつもあるのだ。 乾坤堂からすれば破産(はさん)ものの大事変(だいじへん)である。 「早々(そうそう)にでてってくんねーかな」 月弥は頬杖(ほおづえ)をついた。 「用件(ようけん)()ませりゃすぐにでも退散(たいさん)するよう」 「いくら貧乏神(わしら)でも、もともとの貧乏人(びんぼうにん)には慈悲(じひ)もあらァな」 「ぼっふぉ」 余計なお世話だ──突っ込んだ。 「さっさと用件云え」 みっつは背筋(せすじ)を伸ばした。 「たのむ!貧乏神壱六〇参(1603)号を(すく)いだしてくれ」 は──?  
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