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◆ ◆ ◆
月弥は、小石の欠片のような冷めた瞳で、一点を睨んだ。
それは、月弥たち【乾坤堂】の棲む荒家を、さらに朽ち果たした元凶ら三名。
それらが押しかけた突如、部屋は犇きを立て、くずおれたのだ。
襤褸を纏い、そこから骨皮と枯枝のような手足がにょきりと生えている。ざんばらの蓬髪や禿頭の骨ばった老人ども。
「正体はわかってるよ、あんたら」
──『貧乏神』だろ。
みっつは頷いた。
貧乏神──それは疫病神の一種。これに取り憑かれると福禄を貪られ、家は亡ぶという。
それがみっつもあるのだ。
乾坤堂からすれば破産ものの大事変である。
「早々にでてってくんねーかな」
月弥は頬杖をついた。
「用件済ませりゃすぐにでも退散するよう」
「いくら貧乏神でも、もともとの貧乏人には慈悲もあらァな」
「ぼっふぉ」
余計なお世話だ──突っ込んだ。
「さっさと用件云え」
みっつは背筋を伸ばした。
「たのむ!貧乏神壱六〇参号を救いだしてくれ」
は──?
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