第6話 【貧乏神《びんぼうがみ》奪取作戦《だっしゅさくせん》】

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    「わしら貧乏神(びんぼうがみ)は、貧乏界(びんぼうかい)からくだされた素質(そしつ)ある人間に()()くことによって、世界の均衡(きんこう)(たも)つのが仕事(しごと)じゃ」 貧乏は幸福(こうふく)の上に()()ち、だれかの貧乏はだれかの(とみ)によって形成(けいせい)されている。質量(しつりょう)一定(いってい)。その天秤(てんびん)を動かすのが“摂理(せつり)”が生み出した貧乏界の役目(やくめ)だ。 「貧乏──つまり無精(ぶしょう)(はたら)くのと考えるのが嫌な、所謂(いわゆる)馬鹿(バカ)”と呼ばれるヤツじゃな」 「ただいま戻りました!!」 がらりと戸が開き、貞吉(さだきち)が入ってきた。 「・・・あ(‘Д’)」 貧乏神のひとつが貞吉の背中におぶさった。 「な!!ななななななんすかこの人!!?」 一同はため息をつく。 乾坤堂の経営破綻(けいえいはたん)原因(げんいん)多種(たしゅ)あるが、貞吉(こいつ)の“オモリ”がネックになってるのもまた原因のひとつだ。 「やっぱコイツなんも考えんといままで生きてきたんだなろうな」 「考えすぎるのはたしかによくないですが、考えすぎないというのも」 「(そこ)が見えるヤツだ」 「貧乏神だよ、そいつ」 び、貧乏神!!?──なぜかおのれの尻尾(しっぽ)を追いかける犬のようにくるくる回り始めた。 ()ろうとでもしているのか。 「やっぱバカだわ」 「素質(そしつ)はあるがその辺にしとけ、八百六十八(868)号よ」 ひとりに促され868号はしぶしぶ()りた。  
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