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「話を戻そう。1603号はいつものように貧乏界でくだされた者に取り憑くため、かの国へ向かった。だが貧乏界にはあやつが取り憑いたという情報が来ない」
「情報はどうやって?」
「わしらは特殊な脳内電波を送り、情報共有をしておる」
テレパシーみてえなもんか、と月弥が顎に手をやる。
「定期的な情報開示も報告もない。いっさいの電波が遮断されておるようなのじゃ」
「それはおそらく、電波が届かぬほど───深く固い場所にいるということか」
北條が云うと、貧乏神たちはこくりと首肯した。
どこかもわからぬのか?──めずらしく与作ジジイが口をはさんだ。
「見当はついとる。最後にはいったわずかな電波で得定位置はつかめたのじゃ」
「ついに貧乏神も全地測位体制の時代かよ」
あやつらがわしらの真似をしたんじゃ、とどうでもいい反論をした。
「ほんで、どこなんだよ」
「働売国」
「働売国といやァ、日本一流通に特化しておる繁栄国じゃ」
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