第6話 【貧乏神《びんぼうがみ》奪取作戦《だっしゅさくせん》】

4/17
前へ
/17ページ
次へ
    「話を戻そう。1603号はいつものように貧乏界でくだされた者に取り憑くため、かの国へ向かった。だが貧乏界にはあやつが取り憑いたという情報(じょうほう)が来ない」 「情報はどうやって?」 「わしらは特殊な脳内電波(のうないでんぱ)を送り、情報共有をしておる」 テレパシーみてえなもんか、と月弥が(あご)に手をやる。 「定期的(ていきてき)な情報開示も報告もない。いっさいの電波が遮断(しゃだん)されておるようなのじゃ」 「それはおそらく、電波が届かぬほど───(ふか)(かた)い場所にいるということか」 北條(ほうじょう)が云うと、貧乏神たちはこくりと首肯(しゅこう)した。 どこかもわからぬのか?──めずらしく与作ジジイが口をはさんだ。 「見当(けんとう)はついとる。最後にはいったわずかな電波で得定(とくてい)位置はつかめたのじゃ」 「ついに貧乏神も全地測位体制(GPS)の時代かよ」 あやつらがわしらの真似(まね)をしたんじゃ、とどうでもいい反論(はんろん)をした。 「ほんで、どこなんだよ」 「働売国(どばいこく)」 「働売国といやァ、日本一(ひのもといち)流通(りゅうつう)特化(とっか)しておる繁栄国じゃ」  
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加