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「だったら心配ねえよ。そんな働く奴等が犇めくような国に貧乏神一匹まじったからって、世の中ァどうなることもあるめぇに」
「オオアリじゃ!!事実、貧乏界が計測した経済均衡は徐々に傾斜傾向にある!」
「待てよ。・・・たった一匹の貧乏神なのにか!?」
さすがの月弥も、ごろ寝の態勢を起き上がらせた。
「月弥。考えたくはないが、おそらくそいつがとっつかまってる場所に問題があるのだ」
「場所?どうせどっかの古民家とかだろ?」
「それならば脳内電波でいくらでも救出できるはず。いっただろ。そいつは、深く固い場所に閉じ込められていると」
「───」
月弥の思考が一瞬止まり、貧乏神に詰め寄る。
「テメェ、さっきそいつを“救い出してくれ”っつったな」
「ああ。間違いない。あやつは──」
“監禁”されておるんじゃ。
一同は言葉を飲み、空気が静寂と静まりかえった。
月弥は早鐘を鳴らす。
「・・・監禁」
「ああ。日本一広大な敷地面積を誇るといわれる巨大監獄併設場」
──『辰宮城』で。
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