第6話 【貧乏神《びんぼうがみ》奪取作戦《だっしゅさくせん》】

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    「お姫様はなぜそこまで貧乏神さまを」 「さァて、それは本人に聞いてみなきゃ」 「城主(しょうしゅ)はなにしてんだい」 「手塩(てしお)にかけた娘が家出をしたという前代未聞(ぜんだいみもん)の事件にショックを受けたらしく、切り出すのも(しの)びないらしいンス。それで余計(よけい)刺激(しげき)を与えてまた城を出るようなことがあれば、心臓(しんぞう)が止まるだけでは()まないと」 「死ンじまえそんな城主。よく国を治めてこれたな」 「それだけ、”娘”は特別な存在ってことッスかね」 「ほかの貧乏神さんの話によると、ときどき通信は来ていたようですね」 貞吉がなぜか背中に集る(はえ)を振り払いながら云った。 「おそらく何度か城を抜け出したのだろう」 「だが、また連れ戻された」 「───」 月弥は不機嫌(ふきげん)そうに伏魔殿を見上げた。 ◆   ◆   ◆ 事情を説明すると(くま)をつくった城主も家来も乾坤堂を(まね)き入れた。 もはや、(わら)にもすがる思いなのだろう。 大広間(おおひろま)に通され、“石姫”との面会も叶った。 清楚(せいそ)を絵にかいたような月下美人(げっかびじん)に、タスケと貞吉はからだを硬直(こうちょく)させた。 「わたしになにか」 せせらぎのような澄んだ声音(こわね)だ。 北條がすくと前に出、(こうべ)を垂れた。 「我ら、妖怪退治屋・【乾坤堂】と申します。つきましては姫に申し上げたきことが・・・」 「あの御方(おかた)ならお(わた)しかねます」 姫の一言に、北條の心の鈴音(すずね)がちりと鳴り、(まぶた)のみ薄く開けた。 一同も、軽く目を丸くした。  
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