ヒロシ100%

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「あぁ……やっぱり聞きたいの?」 いや、聞きたいでしょ? 何でまた冷めてるの? 「このブリーフパンツを履いて満月の夜……月明かりの下で願い事を祈ると、一個だけ必ず叶うの」 なっ、なんだって!? ってか、いつの間にブリーフ出したのよ? 「パパもそうよ。私にプロポーズをしてくれた時にこのパンツを履いていたって」 「えっ!?そうなの!?」 初めて知った。 「このパンツを代々、『ゲッコウカメン』と呼んでいるわ」 「ゲッコウカメン!?もしかして…あの月が光る仮面?」 でも、仮面じゃないしな…… 「何言ってるのよ?『月光下綿』よ」 「……はい?」 「だから、月光下綿」 「いや……意味わかんないし」 「これ……コットン百パーセントなの」 そんなパンツあるの!? 『月』の『光』の『下』に履く『綿』百パーセントのブリーフパンツって事? ってか、コットン百パーセントじゃ洗濯したら縮むよね? それで代々受け継がれていて、先祖が履いてきたんだよね? それでそのサイズ感?ちょっと大きくない? ちゃんと洗って受け継がれてるの? ねぇ?そのコットンパンツ大丈夫? 「でもね……」 「でも?」 「あなた、これ似合うかな?このパンツは所有者を選ぶって聞くわ。あなたあんまり良い男じゃないし……」 前回もそれ言ったよね? 「じっ、自分の息子にそれ言っちゃいます?」 母ちゃん、そりゃないよ? あんたの腹から出てきたんだぜ? 「しかも、あなた今日はなっちゃんと勝負デートなんでしょ?」 そうだった…… 「これ履かなくて、大丈夫かしら?」 不安になってきた。 「大丈夫だ!!!心配するな!!!」 とっ、父ちゃん!!! 「この月光下綿は、最強だ!」 父ちゃん…… 「確かにお前は俺みたいにイケメンじゃないし、俺みたいにスマートな体型じゃない。俺みたいにスポーツが何でも万能に出来る訳でもない!それに俺程そのブリーフパンツが似合うとは思えない!」 父ちゃん、軽く自慢? 最後は別にどうでも良いよ。 「だが、お前にはその変態的な容姿がある。お前のその容姿にブリーフパンツを履いてみろ?」 父ちゃん、息子に言う言葉か? 「もしかしたら、歴代の力を凌駕するかもしれないな、恐ろしい……恐ろし過ぎるぞ、ヒロシ」 そっ、そこまでの力が俺に…… 「試しに上から履いてみろ」 黒のスウェットパンツの上から、白いブリーフパンツを履いた。 すると、大きめだったパンツのサイズが自分のジャストフィットサイズに小さくなった。 「うぉぉ、何だよ、これ」 「どうやら月光下綿は、お前を所有者に選んだらしいな」 「そっ、そうなの?」 「見ろ、ママを!!!」
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