ヒロシ100%

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「かっ、母ちゃん!!!」 母ちゃんが俺をモジモジしながら見ている。 「きっ、危険だ!お前の力はやっぱり危険過ぎるぞ。ママがお前の力に誘惑されている」 そっ、そんな力がこの俺に……って。 「前回みたいな展開はないでしょ?特にフェロモンが出てる訳じゃないし、このパンツにそんな力ない」 「はぁ……ヒロシ、お前いつからそんなにノリが悪くなったんだ。ねぇ、ママ?」 「そうよ、ヒロシ。あなたそんな容姿なのに、ノリが悪いって致命的よ?」 おい、母ちゃん。 あなたのその言葉が俺に致命的だよ!!!! 「ねぇ?これ普通に脱ぐよ?それにこのままじゃ、デート行けないし……」 「あっ!?それ、脱げないぞ、もう」 「……はい?」 「だから……願い叶えるまでそれ、脱げないぞ?」 「……えぇーーーー」 なんでそれ先に言わないのよ、父ちゃん…… それじゃあ、黒のスウェットパンツの上から白いブリーフパンツ履いたまま出かける訳? 「……あなた、詰んだわね」 母ちゃんの一言で、判決が下った。 でも……待てよ? 意外と、こういう最先端のファッションだと思って堂々と歩けば…… 「ねぇ、父ちゃん、母ちゃん……これイケるかな?」 父ちゃんと母ちゃんに見てもらった。 「いや…なんと言うか、アグレッシブだな」 「そっ、そうね……」 息子の悲惨な姿に言葉を失う両親。 ……何でだろう。 悲しい気持ちになってきた。 「……もういいよ!二人して俺をこんな姿にして…えぇい!当たって砕け散ってやる!!!」 その姿のまま、俺は玄関に向かって歩き出した。 「おっ、おいヒロシ!ちょっと一旦落ち着けって」 「そっ、そうよヒロシ!そんな服装で外に出たら……」 「いいよ、もう!俺だって、男だ!意地がある!それに、なっちゃんは容姿で俺の事を好いてくれたんじゃない!俺の中身を見てくれているんだ!」 「そういう事を言ってるんじゃないんだ、ヒロシ」 「うるさーい!俺は行くんだぁぁぁぁぁぁ」 「ヒッ、ヒロシぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」 二人の制止に耳を傾けず、俺は外に出た……
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